お酢の製造法

お酢は人類にとっては最も古い調味料の一つです。古代バビロニア時代には既にお酢が作られていたとの文献もあります。ここでは、現在日本で作られているお酢の製造方法を紹介します。

お酢の製造法と特徴
酢分類 製造法 特徴
発酵法 静置法 食酢用(伝統製法)
連続法
(通気法)
食酢用(大量生産)
合成法 主に工業用

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静置発酵法

静置発酵法
静置発酵法 /有限会社菊昌

静置発酵法は日本では昔からお酢の製造に採用されている方法で、またの名を表面発酵法・長期発酵法とも言います。黒酢の製法として有名な「かめ壷仕込み」製法も静置発酵法の一つです。静置発酵法では、穀物を材料に使う米酢や麦酢の場合糖化とアルコール発酵、酢酸発酵が同時に進行します。くだものを使う果実酢の場合はアルコール発酵、酢酸発酵が同時に進行します。


静置発酵法を使ったお酢の特徴

醸造期間
醸造には最短でも2ヶ月はかかります。さらに長期間熟成されるお酢もあります。
製法
タンク内に材料を投入した後、自然の対流に任せて発酵を促します。発酵を促進させるためタンクを保温したり、断熱材で囲ったりします。
特徴
長い発酵期間中に、桶の中で熟成が進み味に深みが生まれる。製造に時間がかかるため大量生産に向かず、製品が高価になる。
静置発酵製法と通気発酵法の違い
お酢の製法によるうまみとコクの違い
(左:静置発酵法 右:連続法)@大正製薬 リビタ純玄麦黒酢

静置発酵法がお酢の旨みを作る

静置発酵法で製造されたお酢は長期間の熟成で琥珀色に輝く芳醇なお酢に仕上がります。静置発酵法では、機械的な攪拌を行わず、自然な対流に任せるので、表面には自然に酢酸膜が形成されます。この酢酸膜の作用で液体内に精製されたコクや香り成分が閉じこめられ、お酢そのものに旨みが閉じこめられると考えられています。

連続法(通気法)

通気法(機械速醸法)
連続発酵法 /有限会社菊昌

連続発酵法は酢酸濃度の高いお酢を短時間に製造できる方法で、またの名を通気法とか機械速醸法ともいわれています。戦後急速に広まったお酢の製造方法で、短期間に大量のお酢が作れることから安価なお酢はほとんどこの製法で作られています。
伝統製法の「静置発酵法」で作られるお酢と比べると、味が淡泊でコクや旨みに欠けます。しかし、お酢の用途を考えると淡泊で自己主張しないお酢の方が調味料としては都合がいい場合があります。ですから、伝統製法なら全てよく、安価に大量生産できるものは全て悪いとは言えません。
適材適所、安くて良いものは上手く使うのが賢い消費者ですね。

連続醸造法(通気法)を使ったお酢の特徴

醸造期間
発酵期間は短く、数時間から24時間で終了します。
製法
タンク内に空気を送り込み、プロペラなどで攪拌して細かい泡を作ります。泡の作用で空気と接する面積が大きくなって、発酵が速く進みます。短期間の発酵で熱が出るため、タンクを冷却する必要があります。
特徴
短期間に高濃度の食酢を醸造することが出来ます。発行期間が短いため、エキス分は少なくさわやかで淡泊な味となります。低価格で良質なお酢が作れます。
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